作ってみたいけれどどこがポイントなのか分からない…、
イカの塩辛というのはまさにそんな料理だと思います。 あたしがいつも正月用に作る塩辛をご紹介しましょう。 イカはスルメイカに限ります。 塩辛に不可欠な肝が旨いのはスルメイカだけだからです。 この時季のスルメは肝もよく太って美味しくなっていますので、 塩辛を作るには絶好の機会と言えるでしょう。 冷凍のイカでは美味しくできません。 生の、飛び切り鮮度のいいイカを選んでください。 いいイカを購入したら、何よりも先に肝を抜きます。 身よりも肝の方が早く鮮度が落ちてしまいますので。 抜いた肝はゲソと切り離して、肝だけに塩をベタベタにまぶします。 この塩は味にも影響しますので、極力いい塩を使ってください。 この状態で最低一晩置いて余分な水分を吐かせます。 もちろんザルの上に乗せておくことをお忘れなく。 それができないなら、塩をして脱水シートに包むという手もあります。 要は肝の水分を抜いて味を濃くすること、これが肝心です。 肝の手当てをしたら身を捌きます。 耳やゲソの扱いや皮の剥き方は、他の料理の場合と一切変わりがありません。 あたしは正月の塩辛だけは耳やゲソを入れずに身だけで作っています。 身以外の部分は冷凍しておき、適宜解凍して唐揚にしたり掻揚げにしたり、 あるいは付け焼きにして酒のツマミにしたりと重宝するものです。 身は、できれば日光に当てて脱水したいところですが、衛生面が心配です。 特に都心では、外に出しておくと排気ガスをまぶしつけることになります。 そこでやはり脱水シートが大活躍してくれることになります。 脱水シートに挟んで一晩置けば、余分な水分が抜けて身が締まります。 日に当てられる環境でしたら、そうするに如くはありません。 一晩置いた肝の回りの塩を落として、袋から肝の中身をしごき出します。 丁寧にするならば、ここで一回裏ごしを通したいところですね。 肝を清潔なボウルに受けて、清潔な箸でよくほぐし混ぜておきます。 さてイカの身は耳からゲソの方向に切ると繊維を断ち切ることができます。 輪切りの方向に切ると繊維が強く残るので塩辛には向きません。 身の長さを半分にして、さらにそれを細く切っていくといいでしょう。 切り終えた身を肝のボウルに入れて全体をよくかき混ぜます。 混ぜてすぐは、「塩辛」でなく「肝和え」といった感じですがこれはこれでいけます。 塩辛の様相を呈してくるのは、和えてから二日後ぐらいからです。 その間、一日最低一回は清潔な箸で全体をよく混ぜます。 そうすれば二週間ぐらいはビクともしませんが、その前になくなるでしょう。 こういうものはガバッと盛るのではなく、小さい器にちょっとだけ出します。 写真の塩辛は和えてから15時間ぐらいで、肝の赤さが強く出ています。 もう二日もすると、全体がテローンとしてきて塩辛らしくなります。 ![]() 酒も柚子も、何にも入っていません。 全体を通して、塩だけなんです。 塩辛を混ぜて熟成させる段階で味を見て 塩気が足りなければ塩だけを足します。 ぜひ一度お試しください。 市販品には酒や味醂、あるいは柚子の香りなどがついているものもあります。 こういったものは後からでも足せるものですから、作る際には不必要です。 一度塩だけの塩辛を口にすると、塩辛の本質が分かるのではないかと思います。 長くなりますが、もう一品ご紹介しましょう。 <続きはこちらから> |
![]() 今日は卵の取り扱いのことを書いておきます。 卵は卵白と卵黄から構成されているのですが、 こいつらはそれぞれ異なる性質を持っています。 その性質の違いを上手く利用すると、 同じ卵からまったく顔つきの違う料理ができます。 この温泉玉子は室温にしておいた卵を一定の温度で加熱するだけです。 まず、卵を水に入れて火を点けて65℃まで温度を上げます。 そうしたらその温度を保ちつつ20分間加熱、それだけです。 黄身がねっとり固まって白身がゼリー状になれば大成功。 日本料理で「旨ダシ」と呼ぶダシを張っておろし生姜を添えました。 知り合いの天麩羅屋では天ツユで食べさせますので、 どうやら食べ方はお好みで構わないようですね。 そしてもう一つは、卵料理の極めつけです。 <続きはこちらから> |
あんかけ続きですが、前回と間隔があるのでいいことにしてしまいましょう。
![]() これはその変化球というところです。 ふろふきは精進ですが、これは肉入り。 鶏の挽肉でそぼろあんを作って それを大根にトロリとかけてあります。 濃度のあるものは、熱くていいですね。 このようなざっかけない料理にも、それなりのポイントはあるものです。 <続きはこちらから> |