ノロウィルス


<もろもろのしがらみ付けて太る牡蛎 中嶋秀子>
まさに今の日本にうってつけの俳句が見つかりました。
カキ、気の毒になるくらいしがらみだらけになりつつありますね。
まだまだ感染者が後を絶たないので、書いておくことにします。

あたしは料理の仕事をしている関係で、保健所の講習会に定期的に出ます。
主たる内容が食中毒の予防にあることは言うまでもありません。
各講師の話を聴いていると、明らかに講師が力説する部分があります。
それが、カキの中毒についての部分なんですね。
一昨年からずっと変らずに、カキの部分にだけ力が入っているんです。
ところが、保健所としては「カキを食うな。」とは言えないわけです。
カキの業者を圧迫することになってしまいますのでね。
そこで「生での提供は避けてください。」と、飲食店の注意を喚起します。
良心的な店ならメニューから外しているでしょうけれど、
店のメニューにあっても客がチョイスしなければいいだけのことです。
ところが外で食べられないとなると、自宅で食べようとすることになります。
宝くじと同じで、可能性は低くてもあたるチャンスがそこに生まれてしまいます。

風評被害で、カキの生産業者は大打撃を受けています。
よからぬ噂を立てる人を悪く言うのはたやすいことではありますが、
こういった事例の本質というのは、実は風評云々ではないんです。

最も悪いのは、我々一人ひとりの無知なんです。

あたしは料理をしますから、中毒のことも頭に入っています。
でも普通の人の頭には、そんな情報はあるわけがありません。
そこをどうやって防ぐか、その部分こそが最重要事項なんです。

一つは、学校教育です。
厚生労働省と文部科学省が、初等教育でカキの生食は危ないと教えることです。
もう一つは家庭での教えです。
カキを生で食べると中ることもあると、親が子供に教えることです。

カキだけでなく、アサリにもハマグリにも中毒の可能性はあります。
でもアサリやハマグリを生で食べることはありませんね。
台湾料理にシジミの醤油漬けというツマミの逸品があって日本人も好みますが、
あれは加熱が半端ですから感染の原因になる可能性を大いに秘めています。
それでも生食が好まれるカキだけが注目されてしまうのも、無知が原因です。
85℃で1分間の加熱、それだけでウィルス感染が防げるんです。
フライでも鍋でも、この条件を十分に満たす食べ方なんですよ。
それをどういうわけか、人は生で食べたがります。
あたしも生牡蠣は好きですが、食べる時はいつも「中るかもしれない…」と
中毒の可能性を肯定しながら食べるようにしています。
ところが普通の方は「自分だけは中らないだろう…」と考えるのだそうです。
この違いは相当大きいと言わざるを得ません。

もう一つの感染可能性、それは調理環境が不衛生なことです。
包丁、まな板、水まわり全般、要は台所がきれいかどうかですね。
ノロウィルスは次亜塩素酸ナトリウムで排除できますので、
キッチンハイターとかドメストのような商品は有効です。
カキを扱ったら、包丁やまな板をそういう消毒剤で除菌することです。
そうすれば、包丁やまな板からの二次感染が防げます。
衛生に無頓着な台所には、ノロウィルスに限らずいつでも中毒の可能性があります。
ノロウィルスで死に至った例は報告されていませんが、他の中毒の中には
大人でも命を落とすようなものがいくらでも存在します。
カキを悪者扱いする前に、自己防衛としてすべきことが身近にあるんです。
今は、食中毒に関して、我々一人ひとりが自分の足元を見つめるべき時です。

カキフライ お口直しに、特大のカキフライを。
 添えられたレモンスライスから
 あるいは隣の一合徳利から、
 カキの大きさがお分かりになりますか。
 一人前が、ご覧の通り三つです。
 実にムフフYカキフライです。

2006 / 12 / 26 ( Tue ) 14:54:48 | 日記 | TrackBack(0) | Comment(10) | トップ↑
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コメント
タイトル:

ご無沙汰しておりますー。

牡蠣を生で食べたのは2、3回かなあ。
どちらかと言うと火を通した方が好きですねえ。
カキフライはジュルルルですねえ。

年末年始はあちこちで生ものを食べる機会が多いから気をつけるようにしないとなあ…。
名前: 寝不足 #lEHLCjLA : 2006/12/26 16:21 :URL [ 編集] | トップ↑
タイトル:今晩は♪

生牡蠣の旨さってのは、あのヌルヌル感だけですね。
熱を入れた方が、磯の香りがくっきりと浮かび上がります。
生も鍋もやぶさかではないのですが、
あたしのカキベストは、いつでもフライです。

生は要注意ですね。
カキだけでなく、色々と…(≧m≦)プププッ!
名前: 新三 #brXp5Gdo : 2006/12/26 22:47 :URL [ 編集] | トップ↑
タイトル:

そうですそうです・・こういうことなんです!ただ噂や雰囲気だけで流されてほしくないんです
さすが知識に基づいていらっしゃるとなんと説得力のある!!

来年もう~んと唸らされる記事を読ませていただけるのを楽しみにしております。今年は新三さまのところでたくさん刺激をいただきました。ありがとうございました^^
名前: あんっこ #- : 2006/12/27 07:47 :URL [ 編集] | トップ↑
タイトル:おはようございます

ノロウィルスに限らず、中毒なんてなものは
たいがい無知から起こることになっています。
下痢や嘔吐ぐらいで済むのならいいとして、
命に関わる中毒は洒落になりませんよ。

あたしの書くことは理屈っぽいですけど、
それでよければまたお付き合いくださいね。
心穏やかな年末年始を過ごされますように。
名前: 新三 #brXp5Gdo : 2006/12/27 08:07 :URL [ 編集] | トップ↑
タイトル:ちょっとの火

ウィルス、食中毒のことは、さすがに専門家。何度もうなずきながら読ませて頂きました。

>カキを悪者扱いする前に、自己防衛としてすべきことが身近にあるんです。
今は、食中毒に関して、我々一人ひとりが自分の足元を見つめるべき時です

そうです、その通り!!!イェ~イ(高島忠夫かっ!)

私も牡蠣や白子、海老、蟹は生でも食べないわけではありませんが、ちょっと火を通したモノが好きです。
牡蠣フライも好きだけど、さっと炙ったようなモノ、好きだ~~~。
うまみが凝縮されるような気がします。
ああ、それにしてもなんて大きな牡蠣フライでしょう!
まるで岩牡蠣サイズですね(笑)
名前: kasuga #- : 2006/12/27 14:15 :URL [ 編集] | トップ↑
タイトル:not専門家!

知識があるってだけで、専門家ではありませんてば。
kasugaさんが挙げてくださったもの、どれも生食可です。
でも、どれも火が入った方が美味しいものばかりです。
ものを美味しく食べるには、適切なタイミングと
適切な調理が必要だということですね。

このカキフライ、すごいでしょう?
この前の訪問時に、生も食べましたよ。
酒が進んで仕方ありません。
そして、岩牡蠣よりもずっとずっと大きいんです。

名前: 新三 #brXp5Gdo : 2006/12/27 21:54 :URL [ 編集] | トップ↑
タイトル:

ノロウイルスで巷は大騒ぎですね。
なんでも消毒用のアルコールや手洗いグッズが例年の3倍も売れてるとか。

食中毒に対する意識が高まることは大切だとは思いますが、
こういった商品を買っていった人達が、これを使えばノロウイルスは大丈夫と思っていやしないかと考えてしまいます。

ところで、新三さん、おせちネタを期待してるのですが、予定はございませんか?


名前: えす #- : 2006/12/28 02:51 :URL [ 編集] | トップ↑
タイトル:おせち?

えすさん、こんにちは。
ここでおせちネタを披露する予定はありません。
えすさんはご自分でなさるのでしょうか。
今どき、レシピはパソでも手に入るでしょうけれど、
作り方のコツみたいなものならお教えしますよ。
遠慮なくお聞きくださいね。

名前: 新三 #brXp5Gdo : 2006/12/28 10:35 :URL [ 編集] | トップ↑
タイトル:こんにちは

実家では何だかいろいろあったものの、実はあまりピンとこないのですが、何にもしないのもよろしくないかなぁと思いまして。。。
失礼ながら、マルシェの台所におせちネタをのせて欲しいとここでリクエストしてみた次第です。

名前: えす #- : 2006/12/28 14:07 :URL [ 編集] | トップ↑
タイトル:そうですかぁ…

おせちをネタにする気は全くなかったんですけど、
正月のもう一品ということで記事を上げましょう。
今日中に仕上がるかどうか分かりませんが、
「マルシェの台所」に本年最後の記事を書きます。

定番のおせちの情報はどこにでも転がってますから、
それをお好みでピックアップなさるといいでしょう。
最小限のおせちは、黒豆・数の子・田作りの三種類です。
この三種を「祝い肴」と称して、おせちには不可欠なものです。
挑戦なさるのであればここが入り口ですが、
黒豆は間に合わないかもしれません。
数の子と田作りは今からでも間に合います。
新しい分野を開拓なさってくださいね。

では、アチラでまたお目にかかりましょう。


名前: 新三 #brXp5Gdo : 2006/12/29 16:21 :URL [ 編集] | トップ↑
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