本を、読む。


<湧くからに流るるからに春の水>
季節はずれの俳句を引いてみましたが、これには意味があります。
作者の名前を書いていないのですが、誰の俳句だと思いますか?
答えは、最後に。


さて、時間の自由が利くようになったので、本を読んでいます。
たとえば、これ。

俳句の本

地域の図書館のリサイクル図書で、無料で貰ってきたものです。
刊行は平成11年の暮ですが、定価2000円ですよ。
それがタダとは、ありがたい話じゃありませんか。

で、読んでるときに、国語辞典と漢和辞典と英和辞典を置いておくんです。
それを見たカミさんが、不思議そうにあたしに尋ねるんですね。
「分からない言葉なんか、あるの?」って。

話は遠回りになりますが、短歌や俳句の評論てのは好きなジャンルなんです。
短歌や俳句ももちろんですが、それを評している文章というのは実に面白い。
まず、日本語が正しく美しいということが一番ですね。
また、表現が豊かで、読者に伝わりやすい言葉を選んで書いてあります。
相手が短歌や俳句ですから、一つの項目が長すぎないのもいいんです。
どこからでも読めて、いつでも中断できますのでね。
著名な歌や句を、この著者はどう捉えているのだろう?
そんな興味も、読む気分を大いに盛り上げてくれる要素の一つになります。

さて、カミさんの疑問に対するあたしの答えですが、「ほとんどないよ。」です。
では、なぜわざわざ辞書を手元に置いて読書するのか。
それは、【赤線部分をはっきりさせておきたいから】ということになります。


電車の中で読むときなどは、辞書携行というわけにはいきません。
そこで赤鉛筆を一本持ち歩いて、疑問部分に赤線を引いていくんです。
たいていは知っている言葉なのですが、敢えて線を引いておきます。
その部分を、自宅で辞書を使って確認していくことになります。

「分からなくないのに、どうして辞書で確かめるのよ?」
当然、次の疑問が投げかけられます。
なので、正直なところを包み隠さず答えます。

「言葉ってのは、『分かっているつもり』で使うのが一番怖いんだ。
言葉に対する自分のイメージが言葉の本義からずれていたとしたら、
その言葉を使い続けているうちに完全な誤用になる可能性もあるだろ。
それを防ぐために、たまにこうして語彙の棚卸しをしておくんだよ。
それに、こうすることで言葉を正しく使う意識も高まるからね。」

カミさん、ちょっと驚いていたようでした。
そりゃね、ハリーポッターを読むなら線なんか引きゃあしませんよ。
ああいうのはストーリーの流れが大事なので、一気に読み通します。
考えてみると、短歌俳句の評論は言葉の棚卸しに向いている気がします。

分からない言葉が「ほとんどない」ということは、「たまにはある」んですね。
この言葉は、あたしの知らない言葉でした。

本に赤線

飯田蛇笏の、<芋の露連山影を正しうす>に添えられている文中にありました。
知らない言葉は、もちろん辞書に当たってその意味を把握しておきます。
また漢和辞典も同時に引いて、漢字そのものの意味も確認しておきます。
そうすれば、当分の間は意味や用法を忘れないで済むからです。

日本語よりも英語の方がニュアンスを上手に表せるというケースもあります。
短歌や俳句のことが書かれていても、そういう場面はまま出てくるものです。
この本の中にも「トリビアル」というカタカナ言葉が使われていました。
英和辞典では、綴りを正しく覚えていないと目当ての単語を引けません。
トリビアルはbだっけ、vだっけ?などという状態では単語にたどり着けないんです。
そこがまず、難関というか、試練ですよね。
そして正しくtrivialに行き着いたら、書かれていることをすべて読みます。
で、ああなるほど…と思えば、それで終わりですね。
短歌や俳句のような純日本的なものに使われる外国語は、全部調べます。
trivialのように知っている単語であっても、全部、です。
だって、そうしないと気持ち悪いんですもの。
筆者がカタカナ言葉を選んだ真意、知りたいですから。

さて冒頭の句ですが、これは夏目漱石の作です。
今回の本の中に書かれていて、それで初めて知った句です。
いい句だなあと思います。
芥川の句集は持っているんですが、漱石のはありませんでした。
なので、さっそく手頃そうなものを探してアマゾンで頼みました。
こうした広がりも、本を読む楽しさのうちですね。


さ、図書館にでも出かけてみようっと。
2012 / 11 / 02 ( Fri ) 11:44:23 | 日記 | TrackBack(0) | Comment(0) | トップ↑
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