スポンサーサイト


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-- / -- / -- ( -- ) --:--:-- | スポンサー広告 | トップ↑
浅草開化楼


ひとつ歳を重ねたのを機に、常体での記述に戻してみよう。
別のところで口語体のブログを書くようになってからというもの、
カチッとした文章を書きたい気持ちが強くなってしまったようだ。
自分のブログだから、誰に遠慮をすることもありはしない。
今までと同様に、また好き勝手に書き続けるだけのことだ。

去る7日、溜まっていた用を一気に片付けようと思って出かけた。
歩き始めて10分でこんな犬に出会い、ほわっとした気持ちになった。
だが、この段階では、この日の幸せな出来事を予見できるはずもない。

犬

撮影のために地べたに腹這いになったら、通る人が不思議そうにしていた。

犬その2

泰然としていながらも、トボけた味のあるヤツだった。

新宿で一つ用を済ませてから向かった先は御徒町で、まずは食事。
それから合羽橋まで歩いたのだが、途中に寄りたいところがあった。
【開化楼】という名の製麺所が、それである。
開化楼の麺を使っているだけで、ラーメン屋に箔がつくらしい。
その事象は本末転倒と言えなくもないが、今はそこには触れぬ。
六厘舎をはじめとする有名店が使うのは、どういう麺なのか。
店の要望に沿う麺を続々と作り出すエネルギーの源は何なのか。
そんなことが少しでも分かりやしないかと思って立ち寄ってみたのである。

「小売はやってらっしゃいますか。」
 「ええ、やってますけど、今日は麺が残ってるかなぁ…。」
「何でもいいんで、あるようならお願いします。」
 「ああ、少しだけ残ってますね。お渡しできます。」
「良かった。ひと玉おいくらですか。」
 「90円でお願いしてるんですけど。」
「それじゃあ、5玉ください。ありますか。」
 「ああ、5玉ならご用意できますよ。」


「ところで、何番ぐらいの麺なんでしょう。」
 「はい?」

ここで、対応した従業員の顔色がさっと変わった。

麺は、板状に延ばした生地を切刃(きりは)で切ることで出来上がる。
切刃の番手とは、30mmを何本に切り分けるかを表す数字だ。
15番といえば30mmを15等分するのだから、麺一本の太さは2mmになる。
番手が小さければ麺は太くなり、数字が大きくなれば細くなる。
私が従業員に尋ねたのは、まさにこの数字のことだったのである。

「いや、どれぐらいの麺なのかと思って。」
 「あのう、ご商売ですか?」
「ちょっと前にやめて、今はやってないんですよ。」
 「じゃあ、これからまた?」
「う~ん、予定が決まっているワケでもないんですけど、身の回りのことが
あれこれ片付いたらまたやってみたいと思っているところなんです。」
 「それでしたら、これ、お持ちください。」
「いやいや、金は払いますよ。」
 「いいえ、サンプルってことでお持ちくださいよ。」
「そう言われても、今は名刺も何も持っちゃいませんよ。」
 「ええ、結構です。また始められる時は、声を掛けてください。」
「では、お言葉に甘えて頂戴して参ります。ありがとうございます。」
 「今日のこれは、ええと、24番ですね。」
「そうですか、承知しました。では、遠慮なく。」
 「あ、ちょっと待ってくださいね。」

かの従業員は、中華麺の他にも袋を一つよこした。

開化楼の麺

中華麺の袋にこそ入っているが、見ての通りのうどんである。

「うどんもやってらっしゃるんですか…。」
 「餃子の皮なんかを作ると、余りが出たりもしますんでね。」
「なるほどねえ。中華麺は1分半ぐらいですかね。」
 「そうだね。でも、1分で上げちゃう人もいるみたいだけどね、あはは。」

私がまた店をやることがあっても、ラーメン屋の可能性はかなり低い。
彼の好意は、100%に近い確率で空振りになるに違いないのだ。
だが、麺の5玉ぐらい、向こうにしてみれば安い広告費なのである。
5玉の原価は、100円するかしないかといったところだろう。
とは言え、売ればいくらかになるものを気前よくタダで渡してよこす。
そして、当然ながら、従業員が麺に精通していて、商品に自信を持っている。
ひと玉90円の小売は高いが、商売はいたって真面目で嘘やハッタリがない。
業務用の注文にも誠意を持って応え、店と良好な関係を築いている。
こういう気風の良さが、開化楼の人気の秘密なのかもしれない。

合羽橋で用を済ませてから御徒町まで歩いて戻り、さらに買い物をした。
帰宅する頃には結構な荷物になっていたのだが、気分は極上だった。

24#ちぢれ 150g

24#ちぢれ 150g

そう書かれた麺は、我が家の冷蔵庫に収まった。
製麺業者のプライドの一端を垣間見て、それは嬉しい一日であった。
2013 / 02 / 16 ( Sat ) 17:11:24 | 日記 | TrackBack(0) | Comment(0) | トップ↑
<<スカッとする | ホーム | 亀戸散策の日>>
コメント
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
http://shinza.blog17.fc2.com/tb.php/819-d7bd00d3
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。