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ヒザナンコツ


漢字で書けば、「膝軟骨」という表記になる。
居酒屋のメニューやスーパーの惣菜売り場で目にするようになったが、
これがいったい何の「膝」かというとニワトリの「膝」だ。
もともと鶏には胸部分にヤゲンと呼び慣わされる軟骨があり、
ただ「ナンコツ」と言えば歴史的にはこちらを指すのが普通だ。
そこでそれとの区別のために、後発の「膝軟骨」をフルネームで呼ぶ。
一つ一つが小さくてスナック感覚で食べられるのが重宝されたものか、
ここ数年で大いに市民権を得た感があって実に興味深い。
立ち飲みや居酒屋の隆盛とリンクしているのだろうと察する。

どうしても仕入れたいものがあり、都内屈指の鶏屋ヘ行ってきた。
順番を待つ間に店員が鶏を捌くのをずっと見ていたら、
モモから骨を外して正肉にする過程で膝軟骨も取り分けている。
そして、外した軟骨は手元近くの一箇所に積み上げられていく。
「ん?この店、前から軟骨を取り分けていたっけかな…?」
自分の番が来たので欲しいものの注文を通しておいて、疑問を浴びせた。

「あの膝軟骨、売ってもらえるのかね。」

対応した従業員は、「いや、アレはちょっと…。」と口ごもった。
量が少ないから、行き先もたいがい決まっているに違いない。
しかもその店でバラす鶏の純生の膝軟骨、希少価値は高い。
そもそも扱う鶏のレベルが高くて、副産物も右へ倣っている。

「あ、いいんだ、別に。
あそこに見えてるんで、聞いてみただけだから。」


私が買い求めたかったのは鶏のガラ、しかも十羽分だった。
どう考えても家庭レベルの買い物でないことは、たちどころに分かる。
まして、まな板に積み上げられた小山を膝軟骨と看破して指差しているのだ。
そんなオッサンが「あの膝軟骨…」と所望して、従業員も考えてしまったらしい。
注文に対する準備をしながら、彼はぼそっと聞いてきた。

「どれぐらい欲しいの?」

ここで1キロだの2キロだのと言ったら、その途端に一巻の終わりとなる。
店にしてみれば決まった取引先をしくじったら沽券に関わるから、
【気まぐれな通りすがりに見える】客にそんな量を回す理由はない。
従業員だって、本当は断る理由を見つけたいに違いないのだ。
だから私は、わざと大仰な物言いで問いに答えた。

「いやいや、晩酌のツマミに揚げたくてね。
旨そうだから、ほんのチョットあればと思ってさ。」


従業員は冷蔵庫の扉を開け、予めそこに収まっていた膝軟骨をビニル袋に入れた。
それを私に向かって突き出し、突き出した右手を少しだけ持ち上げてみせた。

「ああ、申し訳ないねえ。それだけあればたっぷり楽しめる。」

従業員は「仕方ねえなあ…。」というような自嘲気味の笑いを少しだけ浮かべ、
すぐに真顔に戻って品物の包装と会計の作業に移っていったのだった。

居酒屋のそれは、海外から膝軟骨だけの冷凍パックを輸入している。
鶏も若いのをつぶすので軟骨自体が小さく、また大きさが揃っている。
居酒屋や惣菜には、そういう物の方が向いているのだろう。
どうせ濃い味付けにして唐揚げにするのだから、何でも構わない。
私も唐揚げにしたのだが、特に濃い味にしたいとは思わなかった。
軟骨の周りの肉も楽しみたいし、いたって穏やかな味付けにとどめた。
ただ、酒を先に用意しておいて、揚げ立てを食べないと価値が半減する。
無理を言って分けてもらったのだから、徒や疎かにはできないではないか。

DSCN2053.jpg

この日の酒は焼酎の豆乳割り、氷を入れて冷たくしておいた。
唐揚げには小麦粉と片栗粉を両方使い、竜田揚げのような表情にしてみた。
量がたっぷりあるように見えるが、軟骨自体は100グラムほどしかない。
揚げ上がり一つの大きさは、親指と人差し指で輪を作ったぐらいだろう。
これでも今の私の一人前にはやや多く、長男に3つほど助けてもらった。

膝軟骨の唐揚げを自宅でするおウチがそうざらにあるとは思えないし、
どうかすれば普通の唐揚げだって自宅ではやらない人が多数派を占めよう。
私にしたところで、年がら年中こんなものを作ろうとも思わない。
だが、食べたい時に食べたい物を食べたい形で食べられる嬉しさは格別だ。
こういうことなら、買い出しの時間も調理の手間も、むしろ楽しみに変わる。
唯一の問題は、次も所望すればまた売ってくれるかどうか、その一点に尽きる。
時間をおかずに再訪して顔を売ればいいのだろうが、そんな押し売りはいけ好かない。
あくまでも、運とタイミングが重なった時だけのレア物と位置づけておくとしよう。
2013 / 12 / 26 ( Thu ) 07:07:53 | 美味しいもの | TrackBack(0) | Comment(0) | トップ↑
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