スポンサーサイト


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-- / -- / -- ( -- ) --:--:-- | スポンサー広告 | トップ↑
人生で最も印象に残る「頑張れ」とコマ劇場


私が「頑張る」という言葉を極度に嫌うのは、周知のことかと思います。
そもそも「我を張る」が語源なので、いやでも浅ましさを感じるからです。
それだけならまだしも、これが命令形になったら「頑張れ」ですよ。
こんな無責任な、こんな冷酷な言葉は、そうざらにはありません。
何故と言うに、「頑張れ」はごく一方的な投げ掛けの言葉であって、
発言者はひとつも頑張りませんし、またその必要もないからです。

そんな訳で私は「頑張る」とか「頑張れ」とか言うことはないのですが、
人が発した「頑張れ」で唯一耳と心に残っているものがあります。

長男が小さかった頃、モスラの映画を観にいったことがあります。
私は前夜から徹夜で麻雀をしてヘロヘロだったのですが約束は約束、
眠さとダルさを全身に携えたまま歌舞伎町のコマ東宝へ出掛けました。
場内が暗くなって上映開始となれば、こちらはもう寝るだけ。
どれほど経っていたものか、夢の中をふわふわ漂っていた私の耳に、
長男の甲高く大きな、そして実に力強い声が突き刺さりました。

「モスラ、頑張れ!」

映画の内容は、まったく覚えていません。
ただただ、長男の発した「頑張れ」だけを今でも覚えているのです。
声の張り、高さ、音量、全てがあの時のまま耳の底に保存されています。
そしてその声を思い起こすと、当時の長男の横顔までもが思い出されます。

歌舞伎町の東宝は、コマ劇場に隣接するビルの地下にありました。
そのコマ劇場が無くなり、新宿育ちとしては寂しさを感じていました。
劇場を取り壊して基礎工事をしていたときのあの巨大な穴は、
そのまま新宿育ちの人間の心の穴だったと言えるかもしれません。
そんな私ですから、跡地に東宝の新しい商業ビルが建ったことも、
とうてい素直に受け入れられるものではありませんでした。
コマは、花園神社と並んで、歌舞伎町のシンボルだったのです。
新しいビルが完成してから半年、私はあそこを意識的に避けていました。

ですが、先日ついに新ビル内のTOHOシネマで映画を観てきました。
イギリスで制作された「キングスマン」というスパイアクションで、
人から誘われて行ったのですが、実に面白い一編でした。
これでコマ劇場への複雑な感懐も吹っ切れてくれることでしょう。
新しくなった歌舞伎町エリアに、積極的に足を運んでみることにします。

幼かった長男がモスラに声援を送ったあの場所で、もしかすると私は、
少しだけ「頑張った」のかもしれないと思っているところです。
2015 / 10 / 18 ( Sun ) 18:23:08 | 言葉 | TrackBack(0) | Comment(0) | トップ↑
<<一の酉の宵宮に花園神社界隈ををうろついた話 | ホーム | わが家の、アブラ・コーナー>>
コメント
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
http://shinza.blog17.fc2.com/tb.php/887-13f5b14c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。