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レシピを公開する人としない人の違いを考えてみた。


私自身は、レシピを秘匿しておくことはしない。
そうしておくことに、何の意味も感じないからである。
だが、世の中にはレシピを公開しない人も数多くいる。
SNSなどで料理だけ紹介しておいてレシピは内緒、
レシピを知りたければ料理教室にくるか本を買えと。
つまりは、レシピの切り売りということになる。

つい最近のことなのだが、ある特殊な出汁の取り方に出会った。
京都で菊の井という料亭をやっている、村田吉弘さんのメソッドだ。
特殊というにはもちろん意味があってのことなのだが、
まずはこちらのリンクをご一読願えたらと思う。
村田さんの出汁の取り方

大学の研究室の実験も踏まえてということになると、時間も金もかかっている。
そして、村田さんご自身も実地を繰り返しただろうことは想像に難くない。
そんな実験結果を、出汁を取る実践を、村田さんは惜しげなく公開している。
さっそく私も、この方法に従って出汁を取ってみた。

 今までの出汁は何だったのか?

いわゆる料理本に記載されている方法で取った出汁とは次元が違う。
特に、昆布の香りの出方と味の奥行きには、雲泥の差を感じる。
また、昆布の土台があるからこそ、鰹節の香りも殊の外生きている。
関東圏の人間は昆布臭さを嫌うが、それは出汁の取り方に問題があるようだ。
この出汁なら、誰も昆布臭いといちゃもんをつけはしないだろう。
吸い物を作るのに塩と醤油を入れると、出汁の甘みがほんのり浮かぶ。
驚くほど少量の調味料だけで味がまとまることも付け加えねばなるまい。
菊の井はその名の通り良い湧き水に恵まれているのだが、
今回は水については考えないことにして話を進めていきたい。

銀座のある著名な寿司屋の、イクラの味付けを思い出す。
どうやって味をつけるか、こちらが呆れるほどあっさり公開している。
だが、「素人さんがやっても、絶対に同じようにはできません。」とも言う。
経験に裏打ちされた自信が見えて、いい言葉だと思うのだ。
実は、村田さんのレシピにも、大きな問題がひとつ隠れている。
昆布を60℃で一時間煮出す、これが大変な手間を伴う作業なのだ。
温度を保つためには、ガスコンロから離れられないのである。
鍋に温度計を差して、こまめに火の調節をしなければならない。
ただし、この難関を切り抜けられれば、そこには極上の美味が待っている。

レシピを公開しない人をよく見てみると、マイナーな料理の研究家に多い。
日本料理や中華、あるいはフレンチやイタリアンの料理人は、隠さない。
逆によく隠されているのは、インド・ネパールあたりの料理のレシピだ。
繰り返しになるが、金を出して教室に来るか、本を買えということだろう。
かく言う私自身、インド料理の教室へ行ってみたことが数回ある。
だが、どのレッスンも評価に値するものとは到底言えないものだった。
私が料理人だからとか、そういうことではないのである。
どのレッスンも、レジメを貰いに行くのと同等の内容なのだ。
そもそもレクチャーする人間からして、調理が下手糞なのには参る。
切れない包丁に不衛生なキッチン、やたらと長い調理時間。
インド料理には30分でできるものもあるんですよと能書きを垂れつつ、
実際の調理にはその数倍の時間をかけるという手際の悪さ。
こういった人たちは、決まった食材を決まった形で調理するだけだ。
だから、そういう人の本は、どれを見ても同じようなレシピが掲載されている。
教室の受講生、出版物の購入者は、いいカモである。
彼ら彼女らもそれで飯を食っているのだろうから、狭量だとか
出し惜しみだとか、そんなことを言ってみても始まらない。
そこに金を払う価値はないと、そう気づけばいいだけのことだ。

さて、村田さんの出汁に戻ろう。
菊の井では、さる昆布屋のとびっきりの昆布を使っている。
また、枕崎のとびっきりの鰹節の削り立てを用いている。
ここは、出汁にどれだけ金をかけられるか、という部分だ。
菊の井あたりが、金に糸目をつけているようでは困る。
だが、家庭で同じ材料を使えるかというと、まず無理だろう。
と言うよりは、不可能だと断言してしまって間違いはない。
私が使ったのは、良質な利尻昆布の切り落としと、削りおきの鰹節だった。
逆立ちをしてみたところで、料理屋の昆布や鰹節にかなうものではない。
出汁というのは、かなりコストのかかるものなのだ。
昆布と鰹節を追求すれば、目玉が飛び出るほどの値段になることもある。

費用のことを解決しようと、私は実験を重ねてみた。
村田レシピでは、水一升に対して昆布が30gに鰹節が50gとなっている。
30gの昆布や50gの鰹節など、見たこともない人の方が多いだろう。
そういう方々のために、想像を絶する量だ、とだけ言っておこう。
で、私の実験だが、昆布と鰹節の量を減らすことはできないか、というものだ。
試行錯誤した結果、水が2リットル、昆布20g、鰹節40gの割合で落ち着いた。
元のレシピの方向を失わずに、極限まで材料を切り詰めて、これである。
昆布も鰹節も、我が家にあるものをそのまま使って、これはこれで上出来だ。
そして、安価版のこのレシピも、私は隠す気など毛頭ない。

レシピを公開して、作る人が増えて、全体がレベルアップするのなら、
そこには公開する意義は十分にあるのではないかと思っている。
クックパッドは、まさにその具体例と見ていいだろう。
だが如何せんあそこは、作る側のレベルが低くてどうにもならない。
それでもレシピをひた隠す人たちよりは、数等倍ましである。

レシピを公開しない人たちには、それなりの理由と必然性がある。
だが、そういうレシピで作られた料理には、陰湿さが伴う。
自分のレシピの呪縛から、自分自身が抜け出せていないからだ。
村田さんは言う。
もっと美味しい作り方はないか、もっと美味しい組み合わせはないか、と。
そしてその可能性があれば、大学の実験室とのコラボも受け入れる。
菊の井の料理は本格の日本料理であるが、どれもカラッと明るい。
茶の湯由来の堅苦しさとかお高く止まった感じは一切なく、
美味い不味いとは別に、心が華やかに浮き立ってくる料理だ。
村田さんの人となり…と、言えば言えるのかもしれない。
そして、閉鎖的な他国の料理と開放的な自国の料理を比べたら、
どちらがその土地その国に暮らす人間の生理に合うかは明白である。
2016 / 03 / 02 ( Wed ) 16:21:13 | 日記 | TrackBack(0) | Comment(0) | トップ↑
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